その孤独感に対処しよう、今すぐに

人間力
  • リーダーの孤独、リーダーと孤独
  • 孤独感がもたらす負の作用
  • 孤独感を脱するために

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リーダーの孤独、リーダーと孤独

「リーダーは孤独だ」とよく言われます。経営者から役職を伴わない精神的な意味でのリーダーまで立場は様々ですが、他のメンバーとは違った役割や背負った責任がそうさせるものなのでしょう。私自身のマネージャー経験を振り返ってみても、板挟みや、言いたいけれど言えないなど、思い当たることは数多くあります。

アメリカ人を対象とした調査では「心を許せる親友は何人いますか」という質問に対し、1985年にいちばん多い答えは3人だったそうです。それが2004年には、いちばん多い答え(全回答の25%)は、ゼロになってしまったそうです。

日本では状況が異なる可能性はありますが、少なくともアメリカでは、4人に1人は本音で話せる友人が1人もいない、と答えているのです。リーダー自身が孤独感を抱えていない場合であったとしても、チームのメンバーが孤独感を抱えている、という状況はごく当たり前に存在すると想定されます。

孤独感がもたらす負の作用

孤独感がもたらす負の作用には、多数の報告があります。

孤独感を感じている人は集中力や判断力のテストのスコアも低まることが明らかになっています。また、ふつう幸せな人の顔を見ると脳の報酬領域が活性化するのですが、孤独感が強い人はこの反応が鈍るのだそうです。共感性が下がる、と言い換えることができるでしょう。また孤独感が強い人は収入が低いという調査結果も存在しています。

孤独感の強い人はそうでない人に比べてアルコール摂取量や食事の脂肪分も多く、活発に運動しないこともわかっていて「孤独感は高血圧や運動不足、肥満、喫煙に匹敵するほどの影響を健康に与える」とする研究者もいます。

企業の現場でも近年大きな課題として指摘されるようになった抑うつとも関連が指摘されています。孤独感が強い人は抑うつになりやすく、また抑うつになると一層孤独感を感じやすくなるというのです。負のスパイラルと言わざるを得ません。

孤独感は、自分自身の問題としても、チームのメンバーの問題としても、すぐにでも対処すべき問題と言えるでしょう。

孤独感を脱するために

発達心理学の研究では「職場の一員」であること以外に「父親」であったり「ボランティアグループでの活動」といった複数の役割を得ることで、精神的な安定を得やすくなることが知られています。

しかし、このような大きな変化はでなくても、孤独感を脱することは可能なようです。人は普通、昨日まで平穏だったのに突然孤独にはなりません。多くの場合孤独感は、客観的な事実として周囲に誰も居ない、というよりも、いわば主観的な感覚の問題なのです。

「孤独の科学」の著者であるカチオッポは「まず自分から他人に施しをすること」が孤独感への解決法である、そして「ポジティブな心理的順応をすれば、すぐに効果が顕れ、報われる」と主張しています。

孤独感はリーダーの役割上やむを得ないことであったとしても、その解決法もまた、良きリーダーとしての基本に忠実であること、なのかもしれません。

【参考文献】
工藤力, & 西川正之. (1983). 孤独感に関する研究 (I). 実験社会心理学研究, 22(2), 99-108.

孤独の科学――人はなぜ寂しくなるのか、Cacioppo, J. T., & Patrick, W著、柴田裕之訳、河出書房新社

祐司 佐久間
祐司 佐久間
Watson Wyattにて人事コンサルタント、面白法人カヤックの人事チームリーダーを経て現在は大学院で心理学を専攻中。 「データに基づいた人事」をテーマに、ウェアラブル端末やビッグデータ、生理情報、バイオフィードバックなどの切り口からこれまで企業では用いられていなかったデータを組織に活かす方法を模索している。

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