人間的な成長Ⅰ‐バイアスを知ろう‐

バイアス
  • バイアスって何だろう
  • バイアスを強く意識したバックパッカーの経験
  • バイアスは誰しもが持っている

Funny little girl with glasses
同じことを言っても、相手によって全く違うように捉えられてしまう――こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。しかし裏を返せば、あなたもまた人から受けた言葉をそのまま受け取れていないかもしれません。
ここでは「人間的に成長していく」という観点から、バイアスというものについて考えてみたいと思います。

バイアスって何だろう

「バイアス」という言葉を辞書で引くと、さまざまな意味が載せられています。ここではその中でも「認知バイアス」、すなわち損得やこうなってほしいと言う願望、過去の恐怖体験等から思い込みによって、ものの見方や捉え方が偏ったり歪んだりするバイアス(先入観や偏見などとも呼ばれます)について考えていきます。

私たちは周囲の情報をあるがまま受け取っているように考えていますが、実際にはそのようなことはあまりありません。過去の経験――育ってきた環境だったり、習慣だったり、成功・失敗体験だったり、はたまたトラウマだったり――をもとにして、自らの解釈を交えて情報を受け取っています。「色眼鏡」という例えがよく使われますが、緑色の眼鏡をかけて周囲を見れば全てが緑色に見えてしまう、赤色の眼鏡をかけて見れば全て赤色に見えてしまう、しかし本人は眼鏡をかけていることに気付かないという状態です。

上司からアドバイスを受けても、素直に受け入れられないということはありませんか。アドバイスの内容そのものは真っ当なものなのだけれど、上司の普段の振る舞いが気に入らない、上司の声や言葉遣いが過去に嫌いだった人と似ている、またはアドバイスを受けることは自分のプライドが許さない……さまざまなバイアスがかかることで、アドバイスが屈折して届いてしまい、単なる嫌味のように捉えてしまうこともあります。

または仕事でミスをしてしまった時、「隠蔽してしまいたい」と思うことはありませんか。怒られる、評価が下がる、損害が出る、恥をかく……過去の経験などに基づくバイアスがかかってしまうと、素直にミスを報告しようとせずにミスを隠そうという行動に出てしまうことがあります。その結果、迅速にミスを認めて謝罪すれば損失が最小限に抑えられたにも関わらず、ミスを隠蔽し続けたことで甚大な損害とともに表沙汰になったという例がいくつもあることは、皆さんもご存知の通りです。

バイアスがかかっている時、人は意固地になったり、それまで生きてきた経験や価値観にとらわれてしまっているということもできます。しかしこれは周囲の人にはなかなかわかってもらえないため、お互いのバイアスが相容れないと、人間関係がぎくしゃくしたり、業務に支障をきたしたり、場合によっては取り返しのつかない事態になってしまうということが起こりえます。人間的に成長していくということは、まず自分の持つバイアスを自覚し、取り除いていくこと、もしくはうまく付き合っていくことであるといえるでしょう。

バイアスを強く意識したバックパッカーの経験

私がバイアスというものを強く意識したきっかけは、バックパッカーをしていた頃の経験です。大学生だった当時足を運んだシリアやヨルダンといったイスラム圏の国を回った時のこと。現地の人と話をしていたところ、「ところで、お前の宗教は何だ」と聞かれました。特定の宗教に対する信仰心を持っていなかった私は、「無宗教です」と答えました。それに対して、彼はさも信じられないといった表情を浮かべました。また別の機会では、「お前の肉体と魂は誰のものだ」と聞かれました。自分の肉体は自分のものに決まっているし、魂のことなんてそもそも考えたこともなかった私は答えようがなく、「何を言っているのかわかりません」と言うしかありませんでした。これに対してイスラム教徒の彼は、「何を言っているんだ。肉体も魂もアッラーが持っているに決まっているじゃないか」と言い放ったのです。
私がそれまで持っていた常識というものが、音を立てて崩れていった瞬間として、今でもよく覚えています。自分の肉体や魂なのに、それは神様のものだと心から信じている人がいるというのは、当時の私からしたら度肝を抜かれるほどの強い衝撃だったのです。自分の持っている常識の方が正しいと思い込みたかったのですが、日本人が1億人ちょっとしかいないのに対して、イスラム教徒は15億人を優に超えています。世界的に見れば、私のような無宗教の人間の方が圧倒的に少数派で、「非常識」であるというわけです。

この時に、「自分が当たり前として持っている観念も、知らぬ間に何かしらの偏りを持っているのではないか」「人が言ったことも、そのまま受け取っているように見えて、自分のちっぽけな常識を介して見ているのではないか。」そう深く内省しました。その時に自分のバイアスを意識するとともに、少しずつ手放していくというきっかけになったのです。

自分のバイアスが見えてくると、周囲の人のバイアスも見えてくるようになります。これを理解することで、人事という仕事はもちろんのこと、経営をしていく中でも大きな助けになりました。

バイアスは誰しもが持っている

これまでの経験や、見たり聞いたりした情報をもとにして類推してしまう壁、バイアス。過去の経験があることで判断が速くなったり、少ない情報の中から決定して進めることができるというメリットを発揮することもありますが、一方でこれまで述べたように負の方向に働きかけてしまうこともまた多いのです。

ものごとを素直に受け入れられない、偏って考えてしまう……このようなバイアスは、誰しもが多かれ少なかれ持ち合わせているものです。それでは、こうしたバイアスはどのようにして自覚し、取り除いていくことができるのでしょうか。

それは、別途『「修羅場体験」でバイアスは取り払われていく』でお話ししましょう。

yuma
yuma
SOOLファウンダー。異彩人材を次々に惹き付ける独特の声、才能を引き出す不思議な眼力を持ち、人間をこよなく愛する3児のパパ。子供達があこがれを抱くかっこいい大人で溢れる世界を作ることを目指して旅を続ける。同じ志とパワーを持つ伝道師の発掘と育成に命を注ぐ。

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