人への不信感を克服し、信じて任せる成功体験を積もう

リーダーシップ
  • プロフィール
  • 周囲の声
  • 対話
  • アドバイス
  • 経過
  • ポイント

プロフィール

・C氏
・男性
・40代後半
・フランチャイズ展開する飲食店経営者。社員50名

周囲の声

C氏のもとで働いている従業員からは、ビジョンの実現に向けて懸命に努力する強いリーダーであるという肯定的な声と、周囲の意見を聞かず一人で突っ走ってしまうというやや否定的な声が聞かれました。

「将来のビジョンを見せて、何があろうがそれに向かおうとする姿勢を感じる。」「常にビジョンを我々に発信し、方向性を指し示してくれる。」「個人の目標までをしっかりと定め、実現に向けて細かく指示をもらえる。」――このような声から、明確なビジョンを持ち、そのビジョンを実現するために強いリーダーシップを発揮している様子がうかがえます。

一方で、「威圧感があるので現場が萎縮しないような雰囲気作りをして欲しい。 」「時に強引なところがあり、ついてこられないメンバーもいるのでは?」「一つの考えにとらわれず、周りの意見を受け入れる等、幅を持ってもらいたい。」といったように、組織を強く引っ張ろうとするあまり、独善的になってしまうという一面も見て取れました。また「強い面ばかりではなく、何に悩んでいるのか?なにかフォローできることはないか、弱い面も見せて欲しい。」といったように、強いリーダーであるが故に隙のない、近寄りがたい雰囲気も垣間見えました。

対話

自らのビジョンに向けて力強く組織を引っ張っているC氏。申し分ないリーダーのように見えますが、彼には「人を信じることができない」という、人を率いる者として致命的になりうる課題を抱えていたのです。

第一印象は、挨拶の声が大きく、体の大きさもあって頼りがいのある存在。目力もあるので覇気・威圧感を感じました。強そうだな、そんなイメージです。
ただ質問を重ねていっても、どうも深い回答が返ってこない。見た目とは裏腹に、どこか言葉に熱がこもっていない回答がつづきます。なんだかご本人の想いというよりは、空虚な絵空事を聞いているような違和感を覚えていったのです。

「この強さはコンプレックスの裏返しか……?」そんな仮説が私の頭をよぎります。

ここから質問を絞り、さらに深く入っていきます。
「起業したきっかけは?」「何を望んでいるのですか?」「認めて欲しいという欲求は強い方ですか?」「それはなぜですか?」――なかなか本心を明らかにしないC氏でしたが、こうしたご本人の考えや過去の経験などを深く掘り下げて行くうちに、青年期に心に大きな傷を負っていたことを吐露しはじめたのです。

高校三年の時、自分のことを愛してくれていると思っていた両親が突然の離婚、家業と息子を捨てて去って行く父親、残ったのは多額の借金。大学を目指していたものの、皆と同じ進学の夢も断たざるを得ませんでした。絶望の淵に立ち、両親への強い不信感から高校卒業と同時に家を飛び出したC氏は、「これからは誰にも頼ることなく、自分一人の力で生きていこう」そう誓ったそうです。
両親という最も身近な人から裏切られたという経験は、C氏に「人を信用してはならない」という強い信念を植え付けてしまったといいます。また同時にこうした負い目を払拭すべく、起業という道を目指すようになったのです。

「人を信用できない」――この深い傷が、現在の彼の仕事にも大きな影を落としていました。C氏の会社は全国にいくつもの店舗を展開しているものの、店長を信じて店舗運営を任せることができず、末端の従業員にまでC氏自身が細かく指示を出していました。それにより、店長は社長の指示がないと動けず、社長のマネジメントも限界を迎えており、事業規模は50名にさしかかったところで足踏み状態だったのです。
また、ビジョンを語ることはできても、自分の弱みなど人柄に関わる部分まで従業員に開示できていませんでした。心を通わせるコミュニケーションが苦手なため、周囲には人柄が伝わらず、わかりにくい・近寄りがたい人物に映っていたようです。組織の潜在的な不満が募り、見えないところで危機的な状況に陥っている事実が見えてきました。

アドバイス

C氏には、「人を信じて任せる成功体験を積むこと」をキーワードに変容の糸口を掴んで頂くようお伝えしました。自分のやり方を部下に押し付けるのではなく、部下の自主性を信じ、店舗運営などをまるごと任せてみるのです。(結果を出せるリーダーとはここを確認

経験が豊富で結果も出しているC氏から見たら、部下のやり方には口を挟みたくなるでしょう。そこで求められるのは、一方的な指示ではなく双方向的な対話です。「お前は何をやっているんだ。こうした方が良いからこうしろ!」という指示では、部下から反感を買うばかりでなく、「自分のやりたいようにやらせたい」というひとりよがりな姿勢から脱却できていません。「どうしてこのような方法をとったのか?」「なるほど、こういう方法もあるのか。」と部下の考えに耳を傾けた上で、「これは、ちょっとやり方を変えてみて、こうやってみると良いかもしれないよ。」と、自分の考えている方法を示す。このようにしたら、部下の自主性を尊重しながら自分の意見も伝えることができます。

不信感が人一倍強いがために部下に任せきることができず、経営者でありながら末端まで細かく指示を出してきたC氏にとって、「人を信じて任せる」というのはハードルの高いことだと思われます。しかし、だからこそ私は、任された人が頑張って結果を出し、涙が出るくらいの喜びを共に分かち合うという成功体験が、C氏に大きな気付きと変容をもたらすと提案したのです。

経過

あれから半年が経ちました。任せるスタイルに振り切ったC氏の組織は行き詰まっていた50名弱から、60人規模になり、少しずつ任せることで得られる信頼関係、任せることで育つ店長を感じはじめているようでした。100名規模に突き進むC氏の挑戦は続きます。

ポイント

C氏のような強烈な経験をしていないという人でも、「人を信用して仕事を任せる」ということに抵抗を感じる人は多いのではないでしょうか。
しかし、いくらリーダーが頑張るといっても、1日は24時間しかありません。人に仕事を任せることをしない限り、どのような仕事も早々に限界を迎えてしまうのです。
また人に仕事を任せる際には、自分のやり方に固執せず、部下のやり方を認めるという度量も必要です。自分のやり方を押し付けるのではなく、対話を重ね、より良いやり方を追求する方が、部下の個性を存分に発揮し、より望ましい結果を生むことにつながります。
C氏のように、人に仕事を任せることで得られる成果と喜びを、是非あなたにも感じて欲しいと思います。

→参考コンテンツ:社会の責任を負う、取締役・役員の実態とは? & 経営企画の役割を知る。

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yuma
yuma
SOOLファウンダー。異彩人材を次々に惹き付ける独特の声、才能を引き出す不思議な眼力を持ち、人間をこよなく愛する3児のパパ。子供達があこがれを抱くかっこいい大人で溢れる世界を作ることを目指して旅を続ける。同じ志とパワーを持つ伝道師の発掘と育成に命を注ぐ。

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